そうだ利息、取ろう―映画「殿、利息でござる!」
いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
どうも、お久しぶりです。
前の日曜に通信講座で勉強している司書課程の科目試験がありまして、先週はその勉強に追われてました。
今日は最初に身も凍る話をしようと思います。
試験の当日、私は開始30分前、たっぷり余裕を持って会場に着きました。
すると、なぜか会場はすでに人で一杯でした。
不思議に思いながら席につき、受験要項を見直してみると、私が着いたのは入室限度時刻の5分前だった!
[伊達重村(1742~1796)
映画の題名の「殿」とは彼のこと。
重村が朝廷からの官位を幕府に斡旋してもらうために、幕府の土木工事を積極的に引き受けたり、将軍家から正室を迎えたことが仙台藩の財政悪化の一因になります。
映画ではフィギュアスケーターの羽生結弦さんが演じて話題になりました。]
・・・さて、皆さんの背筋も凍っていただいたところで(え?凍ってないって?)今日の本題に入りましょう。
先日、今公開中の映画「殿、利息でござる!」(殿、利息でござる! : 作品情報 - 映画.com)を見てきました。
今日はその感想を話したいと思います。
私は最初にこの映画の題名を見た時、てっきり殿様への貸金が膨らんだ商人が、あの手この手で利息を取り立てる話しかと思いました。
しかし、実際はそんな話じゃなかった。
むしろ、その真逆の話でした。
時は江戸時代中頃、所は仙台藩領の小さな宿場町・吉岡。
ここで実際にあった宿場救済計画を描いたのがこの映画です。
吉岡の町は藩から課される伝馬役の負担にすっかり喘いでいました。
伝馬役というのは、幕府や藩の用で旅をする役人や荷物の輸送を街道沿いの宿場が請負う制度のことです。
ただ、その費用が宿場持ちだったために、宿場としては大きな負担でした。
元々が貧しかった吉岡の町は、この負担に耐えかねて、住民の夜逃げが相次ぐ始末でした。
このままでは町が潰れると立ち上がったのが酒造家の穀田屋十三郎。
彼は領主である伊達家に大金を貸付け、その利息を伝馬役の費用に充てることを思い付きます。
早速、町の有力者や主だった商人たちを同志にして資金集めに奔走しますが、これが実に涙ぐましい。
家財を売り、亡き妻の形見を売り、挙げ句に店を潰しかねない勢いでお金をつくり、その姿はまさに「自己犠牲」と言うしかない。
けれど、そんな人々がいる一方で同志の中には金儲けのために計画に参加したり、いざとなってお金を出し渋る人々もいます。
そのあたりのすれ違いや人間模様がコミカルに描かれていて、時々ほろりとさせる。
まるで壮大な吉本新喜劇を見ているようで、私はスクリーンを見ながら、泣いたり笑ったり実に忙しかったです(笑)
- 作者: 磯田道史
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 2015/06/10
- メディア: 文庫
- この商品を含むブログ (6件) を見る
さて、何やら昨今話題のパナマ文書に出てくる人たちに聞かせてあげたい話ですが、私は計画を利用して私利を図ろうとしたり、お金を出し渋った人々をただ責めることはできません。
町が潰れれば自分の店も立ち行かなくなるわけで、一時的に犠牲を払ったとしても計画に協力することは、長い目で見て自分や自分の子孫のためになる。
そう理解していても、つい目先の利益(これだって大事ですが)に釣られたり、計画の成功を危ぶんで保身(これだって必要でしょう)に走ってしまう。
私が言うのも何ですが、こういう「弱さ」って、だれしもが持ってるんじゃないかと思うんです。
けれども、映画でも最後は人々は団結し、ついに町を救います。
人間は弱さを乗り越える「強さ」も持っている。
少なくとも持ち得る存在なんじゃないでしょうか。
英雄でも聖人でもない、普通の人たちが、自分たちにできることをして一つの町を救った。
そんな話が実際にあったという事実が、何よりも励ましてくれます。
見終わった時に明日からも背筋を伸ばして歩こう―そんな勇気をくれる映画をご覧になってみてはいかがでしょうか?
今日はこんなところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。