「運命の人」の見つけ方―城山三郎『そうか、もう君はいないのか』
いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
お久しぶりです。
先週の日曜に司書講座の定期試験がありまして、その勉強でブログを書くのに手が回りませんでした。
さて、突然ですが、皆さんは「運命の人」って、信じますか?
今日は、一組の素敵な夫婦の話から、「運命の人」というものについて、一つ私なりに考えてみようと思います。
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中年になってもこんな風にふざけ合える夫婦って、素敵じゃないですか?]
城山三郎『そうか、もう君はいないのか』
作家の城山三郎さんが最愛の妻、容子さんとの出会いと結婚生活、そして別れまでの日々を綴った手記です。
そこで描かれている二人の夫婦生活がなんとも微笑ましくて、温かい。
まるで、恋愛中の青年のような率直な恋と、互いを労り合う老夫婦の愛とが仲良く同居しているようでした。
「恋はいつか愛に変わる」とだれかが言いましたが、それは真理の半分しか表現していないのかもしれません。
いずれにせよ、私の伴侶になってくれる女性が現れたとすれば、ぜひこんな夫婦になりたいと、しみじみ思いました(笑)
城山作品の主人公には愛妻家が多いんですが、それもご自分の結婚生活の反映だったのかもしれません。
城山夫妻の結婚生活には、末永く夫婦円満でいるためのヒントが隠されている気がします。
それはたぶん、互いを尊重して、程よい距離を保つということ。
城山さんは、若い頃に大学教員をしながら作家で身を立てることを志します。
ところが、同世代に大江健三郎や開高健といった強力なライバルがいたりすることもあって、なかなか芽が出ない。
それでも容子さんは、「とりあえず食べていけるからいいや」とばかりにいっさい口出ししない。
なかなか胆の据わった奥さんですが、特に支障のない限り干渉しない應揚さが夫婦生活を長続きさせる秘訣かもしれません。
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ところで、城山さんは容子さんとの出会いは、「運命の出会い」だったと言っています。
けれど、それは予め「運命」とやらが用意されていたわけではないでしょう。
むしろ、城山さんが容子さんを愛したからこそ、それが運命の出会いになったのでしょう(逆もまた然り)。
どんな仲のいいカップルも初めからベスト・カップルだったわけじゃない。
お互いの話に耳を傾けて、短所に寛容で、長所を見、そして何より互いを労り、尊敬し、愛する。
そう言うちょっとした努力が二人を互いの「運命の人」にしていくんじゃないでしょうか。
人がだれと出会うかは、選べるようで選べないし、合わない部分なんて、探せばいくらでもある。
そうであればこそ、どこにいるかも分からない、そもそもいる保証もない運命の人とやらを探すより、目の前にいる人を運命の人にしていく方が、よほど建設的でしょう
(もちろん、人間には一定数“どうしても好きになれない人”がいるもので、そんな人まで無理に好きになることもないでしょうが)。
そして、これは恋愛や結婚だけじゃなくて、仕事や他のあらゆる人間関係にも通じる気がします。
事情があって、ここでお話できないのが残念ですが、今日書いたようなことを実感させてくれる出来事が最近ありましたので、本の紹介を兼ねて、今日の記事を書きました。
今日はこんなところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。