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半平のきまぐれ日記

ADHD(注意欠陥多動障害)の就労移行支援事業所に通う20代が本を読んで、映画を見て、あるいはその他諸々について思ったことを気まぐれに綴ります。(※本ブログはAmazonアソシエイトを利用しています。また、記事中の画像は、断りのない限りWikipediaからの引用、もしくはフリー素材を使用しています)

革命に賭けた男たち―『物語 フランス革命』

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[今日の主人公の一人、マクシミリアン・ロベスピエール(1758~1794)
本文中でも書いたように恐怖政治を推進しましたが、議員時代には死刑廃止を提案したこともあります。
「徳なき恐怖は忌まわしく、恐怖なき徳は無力である」という言葉は有名]


いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。

9月に入りましたが、まだまだ暑いですね。

そんな厳しい残暑には、暑い、もとい熱い男たちの物語はいかがでしょう。


安達正勝『物語フランス革命』。



近代民主政治の端緒となったフランス革命はおそらく知らぬ人はいないくらい有名な革命でしょう。

そのフランス革命が1789年のバスティーユ襲撃で始まり、1799年のナポレオン・ボナパルトの戴冠で終焉を迎えるまでの軌跡が、コンパクトに分かりやすく綴られています。



鈴木宏子「薔薇は美しく散る」
[フランス革命と言えば、ベルサイユの薔薇ベルサイユの薔薇と言えば、この歌。今日の本を読んでいる間、私の頭の中にもこの歌がずっと流れてました(笑)]


この本の特徴として挙げられるのが革命を、それに関わった人物を切り口に叙述していることでしょう。

ルイ16世や名だたる革命化たちの行動や思想、果てはパーソナリティが活き活きと語られていて、著者の思い入れが透けて見えます。


その中でも私がもっとも惹かれたのが、ジャコバン派の2大指導者、マクシミリアン・ロベスピエールと、ジョルジュ・ダントンです。


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[ジョルジュ・ダントン(1759~1794)
堂々たる体躯と、雷鳴のような声の持ち主で、彼の演説を聴いて奮い立たない人はいなかったとも言われます。危機的な戦況の中で、ダントンの演説は兵と民衆を大いに励ましました。]


ジャコバン派と言えば、フランス革命の代名詞のような党派で、国内で反乱が続出し、革命の波及を恐れた外国との戦争では劣勢に追い込まれる中、反対する人々を次々に処刑し、恐怖政治を施いたことで知られています。

ロベスピエールは恐怖政治を推進したまさに張本人で、対するダントンはそれよりは穏健な一派を率いていました(「寛容派」とも呼ばれています)。


ロベスピエールは、なかなかの美男子、女性にも結構もてたらしいですが、生涯独身、一説には女性との関係自体を持たなかったとも言われています。

そして、最高権力者になった後も小さな下宿に住み続けるなど、要は超ストイックな人でした。


片やダントンは、醜男、妻のことは情熱的に愛していましたが(自身が出張中に急死した妻の遺骸を掘り返し、それを元に胸像を作らせた!)、何度か浮気もしていたそうです。

おまけに対立する党派から賄賂を受け取っていたという説もあり、美食を好むなど、かなり享楽的な人物でした。


まさに正反対の二人ですが、この二人が革命家として両方人気があるのだから、おもしろい。


私は良くも悪くも人間臭いダントンに惹かれますが、ロベスピエールも結構好きだったりします。

ダントンは友達になりたいですが、ロベスピエールは尊敬はしても、あんまり友達になりたくないです(笑)。


さて、恐怖政治を行ったことで評価の分かれるロベスピエールですが、冷静に考えると同情の余地が結構あると思います。

国内は反対派の反乱で内戦状態。

そんな状態で四方八方から押し寄せる外国軍。

しかも、敵が装備も充実し、百戦錬磨なのに対し、フランス軍は装備も有り合わせ、兵士も指揮官もにわか仕立て。

勝っているのはやる気だけ、というような状態でした。

まさに内憂外患のお手本のような有り様で、そんな時に国を率いる身となってしまっては、ロベスピエールならずとも、ギロチン台に訴えても独裁政治をするしかないじゃないか、と思うかもしれません(それでも恐怖政治を肯定する気にはなれませんが)。


ロベスピエールは元々は正義感溢れる弁護士でした。

合法性を何より重んじる彼が恐怖政治を選択したのは、苦渋の決断だったのかもしれません。

せっかく芽生えた民主政治の芽を守るための。


恐怖政治に待っているのは、一つの陰惨な結末でしょう。

恐怖で人を押さえ込めば恨みを買い、恨みを押さえるために、さらなる恐怖が必要になる。

この悲惨な循環はいつか破綻する。


ダントンを処刑したロベスピエールですが、彼も遂に反対派のクーデターに遭い、失脚し、ギロチン台に立つことになります。

ロベスピエール亡き後、有力な指導者を欠いた革命政府は迷走。

やがてナポレオンの独裁に帰着します。

国王を殺した革命が皇帝を生んだのは、一つの皮肉ですが、ナポレオン帝政の下、民主政治の理念が制度的に確立して行くのでした。


フランス革命は、多くの犠牲を必要としました。

それ自体は実に痛ましい。

が、良し悪は別として、現代の民主主義はその犠牲の上にあるのもまた事実でしょう。

ならばせめて、民主主義によって与えられている自分の権利、義務、責任を大切にしたいものです。


今日はこんなところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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