努力する自由
ラグビーW杯で強豪南ア代表“スプリングボクス”を日本代表が破って話題になったのは、去年のことですが、今日はラグビーにまつわる話をしつつ、人間の自由の話をしたいと思います。
(スプリングボクス 2007)
今日取り上げるのは、「インビクタスー負けざる者たちー」(クリント・イーストウッド監督、モーガン・フリーマン主演、2009)
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私はこの映画を劇場で見たんですが、それでもDVDを買って何度も見たくなる。そんな映画です。
内容としてはネルソン・マンデラ南ア元大統領の伝記映画です。
(ネルソン・マンデラ 1918~2013)
それに95年のラグビーW杯南ア大会の話が絡みます。
(南アフリカの位置と国旗)
91年に人種隔離政策(アパルトヘイト)が撤廃され、94年南ア初の全人種による大統領選挙の結果、反アパルトヘイトの闘士・マンデラが黒人初の大統領になります。
だからと言って、昨日まで差別していた側とされていた側が簡単に手を取り合えるはずもなく、黒人と白人の反目は続きます。
マンデラは、自らの警護チームを白人と黒人の混成部隊にしたり、アパルトヘイト時代の国旗と国家を残すなど、「寛容の精神」を自ら示してして人種間の融和に努めます。
そして、そのためにはラグビーW杯も利用する。
単なるナショナル・チーム以上の役割を背負わされることに代表メンバーも最初は戸惑い、反発します。
しかし、次第に人種の垣根を越えて(白人に人気のあるラグビーは、黒人には不人気)自分達を応援していくようになる国民の姿に、メンバーも一つになっていきます(気がついたら応援しているのは私もです)。
さて、劇中でマンデラが何回も口ずさむ詩があります。
映画と同名のアーネスト・ヘンリー・リーという人の詩ですが、全訳は以下のとおりです。
私を覆う漆黒の夜
鉄格子に潜む奈落の闇
私はあらゆる神に感謝する
我が魂が征服されぬことを
無惨な状況においてさえ
私は怯みも叫びもしなかった
運命に打ちのめされ
血を流しても
決して屈服しない
激しい怒りと涙の彼方に
恐ろしい死が浮かび上がる
だが長きに亘る脅しをうけてなお
私は何一つ恐れはしない
門がいかに狭かろうと
いかなる罰に苦しめられようと
私が我が運命の支配者
私が我が魂の指揮官なのだ
(劇中より)
私はこの詩を書いた紙を手帳に挟んで持ち歩いています。
マンデラは、若い頃武力でアパルトヘイトを覆すことを目指し投獄されました。
以後、人生の大半を獄中で過ごします。
しかし、そこで彼は白人の思想や文化、習慣を学び、武力によらずしてアパルトヘイトを倒す方法を考えたと言われています。
人間は確かに自分ではどう仕様もない運命に左右される面があります。
けれど、それに流されるだけの弱い存在でもない。
むしろ、 自分の手の届く範囲で最善を尽くす自由がある のだと、私は信じます。
マンデラと比ぶるべくもありませんが、 私も今自分が逆境にあると思っています。そして、これを抜けたとしても、逆境も不遇も何度もやって来るでしょう。
でも、その度に私はそれを乗り越える努力をする自由があるのです。
今日はこんなところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。