革命に賭けた男たち―『物語 フランス革命』
[今日の主人公の一人、マクシミリアン・ロベスピエール(1758~1794)
本文中でも書いたように恐怖政治を推進しましたが、議員時代には死刑廃止を提案したこともあります。
「徳なき恐怖は忌まわしく、恐怖なき徳は無力である」という言葉は有名]
いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
9月に入りましたが、まだまだ暑いですね。
そんな厳しい残暑には、暑い、もとい熱い男たちの物語はいかがでしょう。
物語 フランス革命―バスチーユ陥落からナポレオン戴冠まで (中公新書)
- 作者: 安達正勝
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
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近代民主政治の端緒となったフランス革命はおそらく知らぬ人はいないくらい有名な革命でしょう。
そのフランス革命が1789年のバスティーユ襲撃で始まり、1799年のナポレオン・ボナパルトの戴冠で終焉を迎えるまでの軌跡が、コンパクトに分かりやすく綴られています。
鈴木宏子「薔薇は美しく散る」
[フランス革命と言えば、ベルサイユの薔薇、ベルサイユの薔薇と言えば、この歌。今日の本を読んでいる間、私の頭の中にもこの歌がずっと流れてました(笑)]
この本の特徴として挙げられるのが革命を、それに関わった人物を切り口に叙述していることでしょう。
ルイ16世や名だたる革命家たちの行動や思想、果てはパーソナリティが活き活きと語られていて、著者の思い入れが透けて見えます。
その中でも私がもっとも惹かれたのが、ジャコバン派の2大指導者、マクシミリアン・ロベスピエールと、ジョルジュ・ダントンです。
[ジョルジュ・ダントン(1759~1794)
堂々たる体躯と、雷鳴のような声の持ち主で、彼の演説を聴いて奮い立たない人はいなかったとも言われます。危機的な戦況の中で、ダントンの演説は兵と民衆を大いに励ましました。]
ジャコバン派と言えば、フランス革命の代名詞のような党派で、国内で反乱が続出し、革命の波及を恐れた外国との戦争では劣勢に追い込まれる中、反対する人々を次々に処刑し、恐怖政治を施いたことで知られています。
ロベスピエールは恐怖政治を推進したまさに張本人で、対するダントンはそれよりは穏健な一派を率いていました(「寛容派」とも呼ばれています)。
ロベスピエールは、なかなかの美男子、女性にも結構もてたらしいですが、生涯独身、一説には女性との関係自体を持たなかったとも言われています。
そして、最高権力者になった後も小さな下宿に住み続けるなど、要は超ストイックな人でした。
片やダントンは、醜男、妻のことは情熱的に愛していましたが(自身が出張中に急死した妻の遺骸を掘り返し、それを元に胸像を作らせた!)、何度か浮気もしていたそうです。
おまけに対立する党派から賄賂を受け取っていたという説もあり、美食を好むなど、かなり享楽的な人物でした。
まさに正反対の二人ですが、この二人が革命家として両方人気があるのだから、おもしろい。
私は良くも悪くも人間臭いダントンに惹かれますが、ロベスピエールも結構好きだったりします。
ダントンは友達になりたいですが、ロベスピエールは尊敬はしても、あんまり友達になりたくないです(笑)。
さて、恐怖政治を行ったことで評価の分かれるロベスピエールですが、冷静に考えると同情の余地が結構あると思います。
国内は反対派の反乱で内戦状態。
そんな状態で四方八方から押し寄せる外国軍。
しかも、敵が装備も充実し、百戦錬磨なのに対し、フランス軍は装備も有り合わせ、兵士も指揮官もにわか仕立て。
勝っているのはやる気だけ、というような状態でした。
まさに内憂外患のお手本のような有り様で、そんな時に国を率いる身となってしまっては、ロベスピエールならずとも、ギロチン台に訴えても独裁政治をするしかないじゃないか、と思うかもしれません(それでも恐怖政治を肯定する気にはなれませんが)。
ロベスピエールは元々は正義感溢れる弁護士でした。
合法性を何より重んじる彼が恐怖政治を選択したのは、苦渋の決断だったのかもしれません。
せっかく芽生えた民主政治の芽を守るための。
恐怖政治に待っているのは、一つの陰惨な結末でしょう。
恐怖で人を押さえ込めば恨みを買い、恨みを押さえるために、さらなる恐怖が必要になる。
この悲惨な循環はいつか破綻する。
ダントンを処刑したロベスピエールですが、彼も遂に反対派のクーデターに遭い、失脚し、ギロチン台に立つことになります。
ロベスピエール亡き後、有力な指導者を欠いた革命政府は迷走。
やがてナポレオンの独裁に帰着します。
国王を殺した革命が皇帝を生んだのは、一つの皮肉ですが、ナポレオン帝政の下、民主政治の理念が制度的に確立して行くのでした。
フランス革命は、多くの犠牲を必要としました。
それ自体は実に痛ましい。
が、良し悪は別として、現代の民主主義はその犠牲の上にあるのもまた事実でしょう。
ならばせめて、民主主義によって与えられている自分の権利、義務、責任を大切にしたいものです。
今日はこんなところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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分かっちゃいるけどやめられない
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ご無沙汰してます。
2週間ぶりの更新でございます。
先々週から司書講座のスクーリングに日曜を挟んで10日ばかりいってました。
それも更新が遅れた理由ではあるんですが、もう一つ別の理由があります。
今日はその別の理由について少しお話しようと思います。
今さら珍しいことでもないんですが、また人を好きになりました。
もちろん、どういう人かはここに書けませんが、優しそうで、おっとりしてて、真面目そうな、私にとってはド直球な女性でした。
知り合ってから恋するまで、その間1週間足らず!
ぶっちぎりの新記録で、よっぽど惹かれるものがあったのでしょう。
それで連絡先を交換して、lineをしてて少しでもお近づきになろうと、おすすめの映画を彼女に訊いてみました。
それが偶然にも私の好きな映画と一致し、すっかり舞い上がった私は、LINEでつい前のめりになってしまいました。
その結果、返信が来ず、後で不味かったと思い直して送ったお詫びのLINEにも返信が来ませんでした。
この一件ですっかり落ち込んでしまい、ブログを書く意欲を失っていたわけでして。
LINEの返信が来なかった来なかったことよりも、私のしたことが彼女の重荷になったり、ひょっとして傷つけたりしたのなら、そっちの方が辛い。
ところで私の好きな歌に植木等さんの「スーダラ節」があります。
好きな理由は共感できるからなんですが、特に3番の歌詞なんて、私そのものだとさえ思えてきます(笑)
何度も恋をして、その度に色々な原因で失恋してます。
生き方そのものが不器用な私ですが、こと恋愛に関しては磨きがかかってると言っていい。
結果として、自分が傷ついたり、だれかを傷つけるかもと分かっていても恋したり愛さずにはいられない。
困ったことに“分かっちゃいるけどやめられねぇ”ってものでした。
きっと、今の恋も涙に終わるでしょうし、ひょっとすると、まただれかを傷つけたのかもしれません。
だからせめて、傷つけた分だけ、だれかに優しくしたいと思うのです。
なんか、まとまりないですけど、今日は止めどない思いをとにかく書きたかったんだと思います。
今日はこんなところです。
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
めぐるめぐるよ、輪廻はめぐるー映画「クラウド・アトラス」
いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
どうも、お久しぶりです。
えー、今回更新の間が空きました理由はと言いますと、単にお盆休みで曜日の感覚が狂い、更新を忘れていました(笑)
まことに失礼いたしました。
さて、今回は必ずしもハッピーエンドでないのに見終わった後になぜか元気が出る、そんな映画のお話です。
監督は「マトリックス」で有名なウォシャウスキー姉弟(現在は姉妹)。
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この映画は六つの短編によるオムニバス形式になっていて、それらがシャッフルされて複雑に場面転換することで話が進みます。
さらにおもしろいのは、19世紀から文明が崩壊した遥か未来まで、長大な時間軸が描かれているんですが、後の時代に出てきた人物が、前の時代の人物の生まれ変わりと設定されていること。
つまりは「輪廻転生」を一つのテーマにしているんですが、それを演出するために同じ人物の生まれ変わりは、同じキャストが演じています。
ゆえに特殊メイクで人種や性別も越えた変身をしているキャストを見破るのも見所の一つです(私は全く分かりませんでしたが(笑))。
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さて、時代を越えた六つの物語と言いましたが、それらを簡単に紹介したいと思います。
①19世紀、南大平洋。主人公は青年弁護士。奴隷商人の岳父の手伝いをするために船に乗り込むが、その船で密航していた逃亡奴隷の青年を匿うことになる。
②1936年、ロンドン。主人公の貧乏作曲家の青年は、落ち目の老作曲家に助手として雇われる。やがて二人は稀代の傑作を生み出すが・・・
③1973年、サンフランシスコ。二流雑誌の女性記者が最新鋭の原発を取材する。しかし、原発政策を頓挫させたい石油会社の陰謀に巻き込まれる。
④2012年、スコットランド。兄に騙されて悪徳老人ホームに軟禁されることになった老編集者。彼が仲間と協力して脱走を企てる作品。この映画で例外的にコミカルな作風。
⑤2144年、ネオ・ソウル。人口が激減した未来社会では、代替労働力としてクローン人間が活用されていた。クローンはいずれ殺処分されることを知った女性クローンが、クローン解放のために戦う話。
⑥文明崩壊後、ハワイ。とある部族の男がより進んだ文明を持つ部族の女性から、聖地の山への案内を頼まれる。そこには人類を救うある秘密があった。
それぞれが独立した一本の映画になりそうな濃いストーリーですが、私は特に⑤の話が好きです(ちなみに言うと、②、⑤がバッドエンドです)。
大学卒業間近にこの映画を見たんですが、当時私はどうしても就きたい仕事があって、敢えて就職浪人の道を選んでいました。
自分の信じた道を行くんだという決意(気負い?)と、人と違う道を行く不安が半ばした心境でした。
そんな自分と、敢えて勝ち目の薄い戦いに挑む主人公のソンミ(ペ・ドゥナ)とを重ねていたのかもしれません。
Cloud Atlas - Sextet (extended version)
[この映画のメインテーマ。②の主人公の青年が作曲したという設定です]
それぞれはバラバラの話なんですが、段々と一つの大きな物語になっていく。
切ない結末の話もあるんですが、見終わったあとに、なぜか「明日もがんばろう」、そんな気持ちにさせられる。
そんな不思議な映画です。
今日はこんなところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
ちなみに私、明日から来週の土曜まで、司書講座のスクーリングに通います。
その関係でまた更新の間が空きますが、気長にお待ちいただけますと、幸いです。
ゴジラがマジで恐かった―映画「シン・ゴジラ」
いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
さて、先日、ゴジラシリーズの10年ぶりの新作「シン・ゴジラ」が公開されました。
特撮を見ながら育ち、特にゴジラやモスラの活躍を食い入るように見ていた子どもだった(大人になってもそうですが(笑))私としては、「これは見ねばならん!」と勇躍映画館に乗り込みました。
そして、実に喜ばしいことにその期待は裏切られることがありませんでした。
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[記念すべき第1作。シリーズで唯一、ゴジラを完全に葬り去った「オキシジェン・デストロイヤー」が出てきます。そして、それを発明し、自らの命と引き換えにオキシジェン・デストロイヤーと、ゴジラを葬り去った芹沢博士が実に格好いい。
「さようなら。幸せに暮らせよ」]
ゴジラは60年の歴史の中で「シリーズ中断→リブート」の流れを2回くり返しています。
2回のリブート作はいずれも、第1作目の「ゴジラ」(以下、「元祖」)と同じ時系列に位置しています。
その作品の中の日本は、いずれもゴジラの襲来を1度は経験したわけで、つまりは“架空の日本”と言えるでしょう。
これに対し、「シン・ゴジラ」ではゴジラを全く知らない日本に、ゴジラが襲いかかってくる。
感覚としては、「元祖」に引き戻されたと言えるわけです。
ゴジラは、シリーズを重ねるごとに「ヒーローもの」化していくんですが、それが信じられないくらい、「元祖」ではゴジラが徹底的に恐怖の対象として描かれています。
「シン・ゴジラ」はそれを彷彿とさせる出来でした。
得体の知れない巨大生物が我が物顔で街を蹂躙し、自衛隊と米軍が束になっても全く敵わず、放射熱線の一吐きで東京都心が壊滅し、放射能に汚染される・・・
生まれて初めてゴジラを本気で恐いと思いました(マジで)。
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[リブート1回目の「ゴジラ」。武田鉄矢が火事場泥棒の役で出ていたのが妙に印象に残ります(笑)]
また、「シン・ゴジラ」ではゴジラの対応に追われる日本政府の動きがリアルに描写されます。
ゴジラが出て、自衛隊を出動させるしかなくなるんですが、その法的な裏付けをつくるために官僚が議論し、政治家たちは会議を重ねる。
たぶん、ゴジラが本当に出たら同じ様なことが起こるでしょう。
首都が破壊されている傍らでこれをやるわけですから、イライラしながら見てました(かと言って、法的な根拠なく動く政府や軍隊はゴジラより恐いですが)。
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今度見直そう!]
さて、「シン・ゴジラ」に主役らしい主役はいないと、私は思っています。
一応、ゴジラ対策チームを率いる官房副長官(綾野剛)が主役には違いないんですが、彼が際立った活躍をするわけではない。
これが例えばアメリカ映画なら、綾野剛が途中で死亡する総理大臣(大杉漣)に代わって政府の指揮を執って、ゴジラを撃退するところかもしれませんが、そうはならない。
彼は終始、日本政府という巨大な機構の枠をはみ出しません。
そしてそれは、他の登場人物も変わらない。
それぞれに見せ場はあるんですが、与えられた地位や立場の矩を越えることが決してありません。
そのあたりがなんとも“日本らしい”。
この映画、割りと評判がいいようなんですが、その辺りの描写が多くの日本人の感性に訴求したのかもしれません。
良くも悪くも「和を以て尊しとなす」のが、いまだに日本人の美意識として生きているんでしょうか。
いずれにせよ、そんな人たちが右往左往しながらも最善の方法にたどり着く様は、一見頼りなくて、実は頼もしい。
まさかゴジラは出ないでしょうが、ぜひ現実もそうあって欲しいと思います。
ゴジラのテーマ
[日本人なら1度は耳にしたことがあるであろう「ゴジラのテーマ」。この曲と「モスラの唄」を聴くと今でもテンションが上がります(笑)]
今日はこんなところです。
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「運命の人」の見つけ方―城山三郎『そうか、もう君はいないのか』
いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
お久しぶりです。
先週の日曜に司書講座の定期試験がありまして、その勉強でブログを書くのに手が回りませんでした。
さて、突然ですが、皆さんは「運命の人」って、信じますか?
今日は、一組の素敵な夫婦の話から、「運命の人」というものについて、一つ私なりに考えてみようと思います。
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中年になってもこんな風にふざけ合える夫婦って、素敵じゃないですか?]
城山三郎『そうか、もう君はいないのか』
作家の城山三郎さんが最愛の妻、容子さんとの出会いと結婚生活、そして別れまでの日々を綴った手記です。
そこで描かれている二人の夫婦生活がなんとも微笑ましくて、温かい。
まるで、恋愛中の青年のような率直な恋と、互いを労り合う老夫婦の愛とが仲良く同居しているようでした。
「恋はいつか愛に変わる」とだれかが言いましたが、それは真理の半分しか表現していないのかもしれません。
いずれにせよ、私の伴侶になってくれる女性が現れたとすれば、ぜひこんな夫婦になりたいと、しみじみ思いました(笑)
城山作品の主人公には愛妻家が多いんですが、それもご自分の結婚生活の反映だったのかもしれません。
城山夫妻の結婚生活には、末永く夫婦円満でいるためのヒントが隠されている気がします。
それはたぶん、互いを尊重して、程よい距離を保つということ。
城山さんは、若い頃に大学教員をしながら作家で身を立てることを志します。
ところが、同世代に大江健三郎や開高健といった強力なライバルがいたりすることもあって、なかなか芽が出ない。
それでも容子さんは、「とりあえず食べていけるからいいや」とばかりにいっさい口出ししない。
なかなか胆の据わった奥さんですが、特に支障のない限り干渉しない應揚さが夫婦生活を長続きさせる秘訣かもしれません。
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ところで、城山さんは容子さんとの出会いは、「運命の出会い」だったと言っています。
けれど、それは予め「運命」とやらが用意されていたわけではないでしょう。
むしろ、城山さんが容子さんを愛したからこそ、それが運命の出会いになったのでしょう(逆もまた然り)。
どんな仲のいいカップルも初めからベスト・カップルだったわけじゃない。
お互いの話に耳を傾けて、短所に寛容で、長所を見、そして何より互いを労り、尊敬し、愛する。
そう言うちょっとした努力が二人を互いの「運命の人」にしていくんじゃないでしょうか。
人がだれと出会うかは、選べるようで選べないし、合わない部分なんて、探せばいくらでもある。
そうであればこそ、どこにいるかも分からない、そもそもいる保証もない運命の人とやらを探すより、目の前にいる人を運命の人にしていく方が、よほど建設的でしょう
(もちろん、人間には一定数“どうしても好きになれない人”がいるもので、そんな人まで無理に好きになることもないでしょうが)。
そして、これは恋愛や結婚だけじゃなくて、仕事や他のあらゆる人間関係にも通じる気がします。
事情があって、ここでお話できないのが残念ですが、今日書いたようなことを実感させてくれる出来事が最近ありましたので、本の紹介を兼ねて、今日の記事を書きました。
今日はこんなところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
暑さと寒さから逃れる方法
いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
最近は挨拶代わりに言ってますが、いやー、暑いですね(笑)
暑さが人一倍嫌いな私は、夏が来る度にシベリアに行きたいと思ってます。
共感して下さる方も多いかと存じますが(え?いないって)、今日はそんな皆さんにぴったりの話をしようと思います。
禅の公案(昔の高僧の逸話や言葉の意味を考える禅宗の修行の一つ)に「洞山無寒暑」という話があるんですが、それはこんな話です。
中国は唐の時代の高僧、洞山和尚のところにある日弟子がやって来て言いました。
[洞山(807~869)
曹洞宗の開祖として著名。「曹洞宗」の名も洞山禅師の名と、その高弟である曹山禅師の名から取られたという説もあります]
「和尚様、私は暑さ寒さが大の苦手です。何とか逃れる術はありませんか?」
何やら修行僧として適性を疑いたくなりますが、彼とはよい友達になれそうです。
洞山和尚、そんな弟子に呆れもせずに答えます。
「なぜ、暑さ寒さのないところに行かないのだね?」
「そんな場所があるのですか?!」と思わず身を乗り出す弟子に、洞山和尚は涼しい顔でさらに一言。
「暑さに徹しきれば暑さを忘れ、寒さに徹しきれば寒さを忘れる」
洞山和尚が暑さ寒さに弱かったかどうかは知りませんが、この問答は夏と冬の快適な過ごし方を話しているのではありません。
ここで言う暑さ寒さは、人生の暑さと寒さ、つまり失敗や挫折、悩みや苦しみ、悲しみを暗喩している(ちなみに、弟子の名誉のために言っておくと、彼もこのことは承知していて、その上で師僧に問答をしかけています。たぶん)。
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ちなみに、私は最近(また)就職試験に失敗し(この試験かについては過去記事ちゃんと負けて、前に進め - 半平のきまぐれ日記参照)、(また)失恋しました(この恋については過去記事恋わずらいにつける薬―今野敏『隠蔽捜査3 疑心』 - 半平のきまぐれ日記参照)。
まさに人生の暑さと寒さが同時に押し寄せてきた気分です。
どちらの経験も過去に何度もしてきたし、覚悟もしてたはずなのに、それでもやっぱり傷つく。
けれど、傷心を抱えながらも立ち直るまでの時間は確実に短くなってきているし、その経験を建設的な方向に活かそうとする意欲も強くなっている。
これはたぶん、進歩でしょう。
リアルな暑さ寒さはエアコンで何とかなる。
人生の暑さ寒さにも一時的な退避が必要な時もあるでしょう。
ちょうど風邪で寝込んでいる人には運動で体を鍛えるよりも、暖かいベッドでの静養が必要なように。
けれど、結局は逃れ得ないのが人生の暑さ寒さなのでしょう。
必ずどこかで向き合わなきゃいけなくなる。
挫折や失敗、悩みや苦しみに出くわすその度に、のたうち回り、泣き叫びながらでも自分の答えを探すことをすればいいんだと思います。
そうやって必死に答えを探すうちに、暑さも寒さもどっかにいってしまうんじゃないでしょうか。
“災難に逢う時節は災難に逢うがよく候。死ぬる時節は死ぬるがよく候。これ災難を逃るる妙法にて候”
―江戸時代の禅僧、良寛和尚が地震で被災した知人に宛てた見舞状の一節―
今日はこんなところです。
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北方三国志を語ろう! その②―“等身大の天才”諸葛亮孔明
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突然ですが私、先日失恋しました。
まあ、片思いして振られるのはもう慣れっこなはずなんですが、それでも慣れないのが失恋の痛みらしく、ここ何日かはそれなりに落ち込んでました。
そんな時は気分を変えるのがいちばん!ということで、今日は好きな三国志の話、北方三国志について語るシリーズの第2弾です。
[諸葛亮孔明(181~234)
荊州(現・湖北省一帯)の片田舎で庵を結んでいたところを、当時流浪の将軍であった劉備に見出だされたとされている。
劉備に仕え、彼を蜀の建国へと導いた。蜀の建国後は、その丞相(総理大臣のような地位)となる。劉備の死後も魏への遠征を繰り返した。対魏戦の陣中で没する。
「漢王朝再興」という劉備の夢を、その死後も引き継いだ名臣として名高い。]
さて、今日の主人公は三国志の中で私がいちばん好きな登場人物、劉備軍の天才軍師・諸葛亮孔明(「諸葛」が姓、「亮」が名、「孔明」は字(あざな)というもう一つの名前です。一般的には「孔明」で呼ばれることが多いので、以下これで統一します)です。
この孔明、三国志を題材にした創作では、軍略から政治、外交、果ては発明まで何にでも才能を発揮する“万能の天才”として描かれることが多い。
そして、いかなる時にも冷静で、超然としています。
諸葛亮 高品質高級三段黒羽扇 風水や飾り物コスプレに使える羽毛扇 諸葛孔明
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北方孔明は、マルチな天才ではありますが、過ぎたことをいつまでも後悔し、自分の欠点に悩み、時には取り乱しもする、等身大の人間としての側面が強調されています。
たとえば、“漢中”という要衝の地を魏に攻められ、孔明は40万という自軍の4倍の大軍と対峙します。
最後は冷静さを取り戻し、無事漢中を守りきりますが、こんな描写は他の三国志には、ちょっとありません。
大体が慌てたり弱気になる劉備を落ち着かせるという役回りが多い。
北方孔明は、単に劉備の右腕というだけでなく、お互いに足りない部分を補い合う、“二人で一人”という描かれ方をしています。
一心同体でもあり、同じ夢を見る同志でもあり。
そして、それだけに劉備が死んだ後の孔明の孤独がより引き立っています。
幾多の挫折や失敗を経験し、後悔に苛まれながらもなお、劉備の遺志を継ごうとする孔明―その姿に私は涙を禁じ得ませんでした。
北方三国志も他の多くの三国志がそうであるように、孔明の死で幕を下ろします。
自分の生涯を、振り返ろうとは思わなかった。人は生き、人は死ぬ。それだけのことだ。ゆっくりと歩いた。部屋の中だ。
闇が、近づいてくる。その闇に、孔明はかすかな、懐かしさのようなものを感じた。闇が、さらに歩み寄ってくる。
自分が、笑ったのがわかった。
魏との戦いの中で、孔明は微笑みながら最期の時を迎えます。
私もいつ、どこで、どんな最期の瞬間を迎えるにしても―たとえそれが、人知れず路傍で迎えることになっても―微笑みとともに死んで行きたいものです。
今日はこんなところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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三国演義 ED2 ユラリユララ 中島卓偉
[2010年に放映された、アニメ「最強武将伝 三国演義」の後期OP。映像に出てくるのは孔明ですが、歌詞の内容が北方孔明そのものだと思っています。ぜひ、お聴きください]