人が人であるために
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さて、ダッダッダッダッダ、ダッダッダッダッダ、のメロディーと言えば、映画の「ターミネーター」です。
人類に反乱を起こした人工知能(AI)・スカイネットと、人類の時空を越えた死闘を描いたこの映画は、まさにSF映画の金字塔と呼ぶに相応しいでしょう。
かく言う私もこの映画のファンでして、子どもの頃からビデオやDVDを、それこそセリフを暗記するぐらい繰り返し見てました。
スカイネットは自我と高い知能を持ち、人類を滅亡寸前に追い詰めますが、スカイネットのように人類を越えるAIが今世紀中に誕生する可能性が、一部の知識人やメディアなどの間で、まことしやかにささやかれています。
いわゆる「シンギュラリティ(技術的特異点)仮説」と呼ばれる考え方ですが、それによると、2045年頃にはAIが人類の知性を追い越してしまうといいます。
AIが人類を追い越さないまでもあと10年、20年くらいで人間の仕事のかなりの部分がAIで代替されるという話もあって、就職活動中の身としては、結構気になる話だったりします(笑)
そこでAI関係の本や記事をよく読んだりしているんですが、その中でいちばんおもしろかったのが、今日ご紹介する1冊です。
ビッグデータと人工知能 - 可能性と罠を見極める (中公新書)
- 作者: 西垣通
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著者は日立のコンピュータ・エンジニアから、情報学の研究者に転身し、歴史小説なども執筆し、文系・理系の枠に囚われない学際的な研究を展開する異色の研究者です(西垣通 - Wikipedia)。
本書もその例にもれず、単にAIの話だけでなくて、読み終わった後に、「人間とは何か?」、「意識とは何か?」というテーマについて、深く考えさせられました。。
著者はAIが人間のような知性や感性を持つことはあり得ず、人間の仕事を奪うこともないと断言します。
その理由は生物とAIが全く違う存在だから。
そして、生物とAIの違いは大きく二つある。
まず、人間を含む生物の意識が、全くの閉鎖系であるのに対し、AIはそれを覗き見ることができます。
例えば人間の場合、「彼が何故それをしたのか」ということは、推測することはできても、心を覗き見ることができない以上、それを知ることはできないわけです。
犬や猫、魚であってもこれは同じです。
しかし、AIの場合、あくまで機械ですから、結局はエンジニアが書いたプログラムに沿って行動しているに過ぎない。
一見不可解な動きをしたとしても、プログラムを分析すれば、その理由が分かるというわけです。
次にAIは、過去の膨大なデータを学習することができますが、逆に言うならばその枠を出ることができません。
対して人間は過去の経験に学びつつも、それを越えた飛躍や閃きというものをなし得る。
こうした未知の状況に対処する能力は生物の生存にとって、必須でしょう。
それをもたらす柔軟性で言えば、人間は群を抜いている。
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それをロボットによる犯行と睨んだロボット嫌いの刑事は一人捜査を開始するが、事件の裏には超高性能人工知能が人類に対して起こそうとしている反乱があった・・・
主人公の刑事がロボットと和解するラストシーンが好き]
それがいかに人間のように見えたとしても、AIもあくまで機械であり、コンピュータに過ぎないでしょう。
別に恐れたり、忌避したり、過度にありがたがることもない。
であるならば、人間とAIの付き合い方も見えてくるのではないでしょうか。
AIの利点とは、人間が逆立ちしても勝てっこない処理能力にある。
人間が処理し得ないような膨大なデータを解析し、そこから傾向や特徴を探り出したす。
人間が見落としてしまうような。
つまり、AIは人間の判断を助けるための有用な道具であるわけです。
ここで忘れてはならないのは、AIはあくまで判断を「助ける」存在であって、判断を「下す」存在ではないということ。
道具を使うのが人間であって、道具に使われてしまってはそれは人間であることを放棄したに等しい。
AIが音楽に感動して、自分も人を感動させる音楽を作ろうと思うことはあり得ない。
病気に苦しむ人に涙して、新しい薬を開発したいと思うこともないでしょう。
それはあくまで人間の仕事です。
ただ、その遠くて困難な道行きの足元を照らしてくれる、松明や懐中電灯にはなってくれるのではないでしょうか。
今日はこんなところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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