ウサギのための弁明
- 作者: 平田昭吾
- 出版社/メーカー: ポプラ社
- 発売日: 1999/01/25
- メディア: 単行本
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ウサギとカメの童話は、おそらくたいていの方がご存知と思います。
カメと駆けっこをしたウサギが自分の足の早さをいいことに、途中で昼寝をして負けてしまう話です。
慢心を戒める教訓話ですが、ウサギはそんなやつじゃなかったんじゃないかと、最近思っています。
今日はその話をしたいと思います。
- 作者: 城山三郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2012/07/28
- メディア: 文庫
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先日、城山三郎さんの「少しだけ、無理をして生きる」というエッセイを読みました。
城山さんは作家ですから、インスピレーションが必要になります。
けれど、インスピレーションが湧くのを待つだけではいい作品は書けないし、作家としての成長もない。
では、どうするかと言うと、自分の処理能力より少し多めに仕事をする。
それでも質は落とせないから、プレッシャーになる。
そのプレッシャーによって人工的にインスピレーションを生み出すんだそうです。
かと言って、著しく負荷をかけすぎるとたちまち心身を壊してしまうでしょう。
あくまで「少しだけ」というのが大事なわけです。
ここでウサギとカメの話に戻りますが、私が思うに彼(あるいは彼女、もしくはトランスジェンダーかもしれませんが)は無理をし過ぎた。
自分の限界以上の力で走ったから力尽きて、つい昼寝をした。
カメは少しだけ無理をした。
少しの無理だから持続できて、最後には勝てた。
ウサギは高慢でも不真面目でもなく、実は謙虚で真面目なやつだったのかもしれません。
無理をするのはよくないですが、全く無理をしないと何事も惰性になるし、何より成長がない。
これだってよくないと思うのです。
妙な言い方ですが、「無理のない範囲で無理をする」、これが大事だと思います。
「持続できる無理をする」と言い換えてもいい。
今、私が通っている発達障害者向けの就労支援施設では、事務系の訓練を中心にやっています。
例えば、「メモを元に備品の発注書を作る」(実際には発注しませんけど)と言ったような訓練ですが、こうした訓練に目標をもってやる。
例にあげた訓練で言えば、「一枚の発注書をミスなく10分以内に作る」といった具合に、日々の訓練で今の自分より少しだけ背伸びした目標を立てるようにしています。
これだけで毎日の訓練に格段に張りが出る。
自分の限界の境界線上を、少しだけ限界以上寄りに歩く。
訓練に限らず、趣味でも、あるいは将来する仕事でも、ささやかな、静かな挑戦を繰り返す。
これを繰り返して、いつの間にかカメのように遠くに行っている―。
そうありたいと思います。
今日はこんなところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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