一人でいるのは賑やかだ
いつも当ブログをご覧いただき、ありがとうございます。
遅ればせながら明けましておめでとうございます。
寒い日が続きますが、皆さまいかがお過ごしでしょうか?
私は年末に発生したメンタルの不調はだいぶよくなりましたが、今度は風邪をひいてしまいました。
のどの痛み、鼻水、鼻詰まり、せき、それにしゃがれた声、なんていう風邪のフルコースを強制的に堪能させらてます(笑)
はたからもだいぶ辛そうに見えるようで、職場の女性陣から心配されるのだけは悪くありませんが(笑)
自分でも久々にキツめの風邪なんですが、不思議なことに熱は出ない。
いっそ高熱でも出た方が早く治るのかもしれませんが、それでも辛いから何日か仕事を休みました。
やたらに出歩くわけにもいかないので、基本的に部屋で過ごしていますが、自分しかいない部屋の中でぼんやりしてると色々なことを考えます。
そんな状況に置かれていると、一つの詩がよく頭の中に浮かんできました。
今日はその詩の話をしましょう。
それは茨木のり子さんの「一人は賑やか」という詩ですが、まずはその詩を読んでみてください。
一人は賑やか
一人でいるのは 賑やかだ
賑やかな賑やかな森だよ
夢がぱちぱち はぜてくる
よからぬ思いも 湧いてくる
エーデルワイスも 毒の茸も一人でいるのは 賑やかだ
賑やかな賑やかな海だよ
水平線もかたむいて
荒れに荒れっちまう夜もある
なぎの日生まれる馬鹿貝もある一人でいるのは賑やかだ
誓って負け惜しみなんかじゃない
一人でいるとき淋しいやつが
二人寄ったら なお淋しいおおぜい寄ったなら
だ だ だ だ だっと 堕落だな恋人よ
まだどこにいるのかもわからない 君
一人でいるとき 一番賑やかなヤツで
あってくれ
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茨木さんの詩集を読むのはこれが初めてでしたが、代表的な作品は一通り入っているので、これから入るのもいいと思います。
私はとても寂しがりやな反面、一人でいるのが好きでして。
あるいは、人の波に揉まれるのがひどく苦手といった方がいいかもしれません。
人混みには行きたくないし、大勢集まるような宴会に出ると、楽しんだとしても二時間もしたら帰りたくなる。
毎日だれもいない部屋に帰るのはわびしいよりむしろ、ほっとするところがあり、何より一人で趣味や考え事をしている時にもっとも充足を感じます。
茨木のり子(1926〜2006)
大阪府出身。十九歳のとき、敗戦を経験。結婚後、主婦業のかたわら詩作を続ける。韓国語を習い、韓国現代詩の紹介にも尽力した。
夫の死後、三十年以上一人で暮らしていたが、自宅で病死しているのを親族によって発見された。友人・知人などに宛てた遺書が複数用意されていたという。
代表作「自分の感受性くらい」、「わたしが一番きれいだったとき」、「倚りかからず」など。
厳しくも暖かい言葉によって紡がれた彼女の詩は、読むとしゃんと背筋を伸ばしたくなります。
そんな私にとって、この詩は自分のことを肯定してくれているような、自分の気持ちを代弁してくれているようで、初めて読んだときにとても嬉しく感じたのを覚えています。
「彼女もいなくて休日にひとりでも大丈夫だ!」と勇気をもらえます(笑)
他にすることもなく部屋にひとりでいると、自分が世界を変えられるような勇気が湧いてくることもある。
かと思えば、将来のすべてを悲観的に考えたり、悩まなくていいようなことで悩んだりする。
まさに「夢がぱちぱちはぜて」きて、「よからぬ思いも湧いてくる」わけですが、この実に忙しい自分の心が、文句を言いながらも結構好きだったりしてます。
さて、去年一年がかりで取り組んできた例の挑戦が頓挫してから、先のことを色々考えてます。
その結果、今まで「自分はこの道で行くんだ」と思ってたことを相対化することにしました。
先に夢や目標のようなものはぼんやり見えてますが、そこに至るまでの道は色々ある感じです。
拘りをなくしたことで自由になったようでもあり、縛りがなくなったことで行くべき道が分からなくなったようでもあり。
どちらにせよ、挫折していなければこんなことは考えなかった。
今のこの時間が、人生をより味わい深くしてくれたと、いつの日か思えるように、私は自分のすべきと思うことをしたいと思います。
そう言えば、"バスケットの神様"マイケル・ジョーダンは、「投げてしまったボールのことは気にしない」と言ったそうです。
終わったことをあれこれ考えがちな私には、薬になるいい言葉だと思っています。
今日はこんなところです。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。